• リハビリ専門職の目線でプロレスを語ります

最近はスターダムの選手のツイートを見ることが多いのですが、ジャングル叫女選手のツイートが気になりました。

5STAR GPは何試合か観戦していたので、欠場は本当に残念でした。ということで、今回はジャングル叫女選手が2019.9.14 vsジェイミー・ヘイター戦で負った肩鎖関節脱臼について取り上げます。

肩鎖関節については、以前の記事にも載せていますので、併せてご覧ください。

肩鎖関節と脱臼の原因

肩鎖関節は肩甲骨の肩峰と鎖骨の遠位端が向かい合って関節が作られています。

肩を前面から見た図

通常の肩鎖関節は、鎖骨遠位端・肩鎖関節・肩峰が概ね平坦となっています。しかし、肩鎖関節脱臼があると肩甲骨の肩峰に対して鎖骨が跳ね上がってしまい、肩鎖関節が向かい合っていない状態になります。この場合、体表からも確認出来ます。ジャングル叫女選手がレントゲン画像をブログにアップしていました。

https://ameblo.jp/junglekyona/entry-12526632795.html

肩鎖関節脱臼で多い原因は、転倒などで直接肩を強打してしまったケースです。また落下の際に肩の一点にかかる直接の力が原因であることが多いです。

激しくぶつかり合うタイプのスポーツ(アメリカンフットボール、ラグビー、柔道など)で起こりやすいケガです。

肩鎖関節に関わる靭帯について

肩鎖関節は、向かい合う骨同士が上手くはまり込むような構造をしていないので、容易に外れてしまう形状となっています。このため、強固な靭帯が肩鎖関節を支えています。肩鎖関節脱臼で断裂しやすいのは、「肩鎖靭帯」「烏口鎖骨靭帯」の2つになります。

特に烏口鎖骨靭帯がポイントです

肩鎖関節自体を取り囲むように支えている靭帯が「肩鎖靭帯」であり、肩鎖関節脱臼で最初に損傷する靭帯です。

また、鎖骨の下にある「烏口鎖骨靭帯」が重要な役割をしています。烏口鎖骨靭帯は肩甲骨の烏口突起と鎖骨を繋いでおり、この靭帯のおかげで鎖骨が上に跳ね上がらずに済んでいます。中等症以上の肩鎖関節脱臼では、この烏口鎖骨靱帯も損傷しているため、鎖骨が上に跳ね上がってしまっています。また、肩甲骨の安定化にも寄与しています。

ジャングル叫女選手のコメントでは「靭帯が3本切れた」との情報があったので、「烏口肩峰靭帯」も断裂した可能性があります。烏口肩峰靭帯は肩関節の保護し、上腕骨が水平よりも上方に上がらないよう、屋根の役割をしています。

肩鎖関節の損傷は6つのタイプに分かれており、断裂の程度によって保存療法なのか手術療法なのかが決まります。ジャングル叫女選手の場合は保存療法のようですが、いずれにせよ肩鎖関節の不安定感が残存していると思われます。

今回はジェイミー・ヘイターが投げっぱなしロックボトムのような形でジャングル叫女選手を強引にリングに叩きつけた際、右肩から一点に落ちてしまったので、うまく受け身が取れず受傷しています。

はっきり言えば、ジェイミーの投げ方が力任せなだけで下手でした。あれでは受け身の取りようがありません。

どんな不具合が生じるのか

肩鎖関節脱臼を脱臼し関節に不安定感があると、肩を90°以上持ち上げた際に肩鎖関節に痛みが出たり、怪我をした際に僧帽筋や三角筋を損傷する場合もあるため、相手を持ち上げる動作に支障が出ます。

復帰後は毎試合ガッチリとテーピングをしているので、常に肩の不安定感と戦っているのかもしれません。

怪我からの復帰直後は、パワースラムの滞空動作で溜めが作れていませんでしたが、徐々にしっかりと溜めを作ってから落とせるようになっています。

ジャイアントスイングは流石元ハンマー投げの選手といったところです。最近はフィニッシュ技がスリーパーを決めながら相手を振り回す技になっており、肩の状況や過去の競技歴を考慮すると、ベストな技のチョイスだと思いました。

ジャングル叫女の持ち味

スターダムは線の細いレスラーが多いのですが、その中でもガッシリ体型である点がジャングル叫女選手の特徴です。特に下半身の発達は個人的に目を見張るものがあります。

基本的に靭帯断裂は完治することがありません。僧帽筋や三角筋に関してもっとバルクアップすると、ラリアットや持ち上げる技の安定感が増すと思います。

常に右肩に爆弾を抱えた状態だとは思いますが、ジェイミーに負けないようなパワーファイトを見せて欲しいです。