• リハビリ専門職の目線でプロレスを語ります

潮崎豪とのタイトルマッチでGHCを獲得した武藤ですが、人工の膝関節が入っているのにも関わらず、それを感じさせない動きをしていて本当に驚きました。

他にも大仁田厚やライオネス飛鳥も同様の手術をしています。

人工膝関節になる原因

過去に内藤哲也の記事でも書きましたが、変形性膝関節症が原因になります。

内藤哲也の歩き方が気になったので変形性膝関節症について解説したい | プオタの理学療法士 (ptpwota.com)

変形性膝関節症におけるレントゲン所見では、初期には関節の隙間の狭小化、そして進行に伴い骨の棘の形成、軟骨の下にある骨の硬化が認められます。さらに末期には関節の隙間がなくなり、関節の中で骨折が生じる場合もあります。

変形の末期では膝関節の安定性がなくなってしまうため、手術をする直前の歩くのが精一杯な武藤の状態になってしまいます。

人工膝関節置換術とは何か

人工膝関節置換術とは、変形性膝関節症や関節リウマチによって傷んで変形した膝関節の表面を取り除いて、人工関節に置き換える手術です。

人工関節は、関節の滑らかな動きを再現できるように、大腿骨部・ 脛骨部膝蓋骨部(膝のお皿)の3つの部分からできています。大腿骨部と脛骨部の本体は金属製ですが、脛骨部の上面と膝蓋骨の表面は耐久性に優れた硬いポリエチレンでできていて、これが軟骨の代わりになります。

使用する人工関節は障害の程度によって異なり、膝関節の内側or外側のみを人工関節にする場合もあります。障害の程度が比較的軽い場合は骨の表面だけを削って置き換えますが、 膝関節の破壊が進み、障害が著しい場合には、すり減った骨を補充するために複雑な膝関節部品が必要になります。

【ノア】武藤敬司 史上3人目のグランドスラム達成へGHC取りを狙う | 東スポのノアに関するニュースを掲載 (tokyo-sports.co.jp)

出典:東京スポーツ 記事の写真を拡大

東スポの写真を見る限りでは、一般的な人工関節とは別のものを入れているようです。

この人工関節について、私が勤務している整形外科医に話を聞いてみました。※上記の画像の人工関節が、初回の手術で行ったものと仮定しています。

・右膝の人工関節は一般的に再手術で入れるものになる。膝の靭帯が全て機能不全を起こしていたり、大きな骨の欠損を伴っていたため、初回からこの手術になったのではないか。

・左右の膝共に脛骨側のステム(釘の先端のようになっている部分)が長いので、プロレス復帰を想定して緩みにくいものを選択したのではないか。

人工膝関節の耐久年数は一般的に20年と言われています。記事では「あと10年は大丈夫」と言われたとのことなので、いずれ再手術をすることを想定しているのかもしれません。

人工膝関節全置換術の注意点

以前膝の手術後にスクワットをして膝蓋骨を骨折したとのツイートをしていました。

画像から分かるのは、膝蓋骨は人工関節に置換しておらず、縦に骨折してしまっています。また、膝蓋骨が膝蓋骨が溝にハマっておらず外側に亜脱臼しています。

手術は膝の内側から行う場合も多いため、大腿四頭筋の内側が弱化しやすくなり、外側が相対的に強くなってしまいます。

このため、スクワットをしたときに膝蓋骨が外側に引っ張られ過ぎてしまい、大腿骨の出っ張りに乗り上げ、人工関節に押し付けられた結果、骨折したのではないでしょうか。

人工膝関節での主な禁忌動作は以下の通りです。

正座・胡坐・割座・深いしゃがみ動作
→膝を曲げすぎると人工関節の破損などに繋がります。

過度な運動
→コンタクトスポーツや跳躍動作を伴うスポーツは、不意に膝が捻じれてしまう可能性があり人工関節が緩みやすく、やはり人工関節が破損するリスクに繋がります。

https://twitter.com/noah_ghc/status/1370218674439647236

上記の動画では、スペースローリングエルボーが不格好な形になってしまいました。側転して着地した際に想定よりも膝が屈曲し過ぎてしまい、本人も焦ったのではないでしょうか。

また、潮崎豪とのタイトルマッチでムーンサルトプレスを敢行しようとして未遂に終わった場面がありました。これを言うと元も子もありませんが、人工関節の破損の恐れがあるため、当然ムーンサルトプレスはドクターストップです。

今後について

人工関節も負荷を掛け続ければ、摩耗したり緩んでしまいますから、防衛戦どころか試合そのものもバンバン出られる状況じゃありません。

また、試合を見ていると右膝を曲げ過ぎないよう上手く体をコントロールしながら戦っている印象があります。

右膝はやや特殊な人工関節を入れてますし、膝蓋骨を骨折したこともあるため、どうしても左足を軸にした動作になるのではないでしょうか。

ということで、全盛期とは程遠い動きをしていても、試合を見ている方々には武藤の動きを馬鹿にするようなクソツイート・クソリプをしないで欲しいものです。

フランケンシュタイナーは見ていて痺れました。還暦の近いレスラーの動きとは思えません。人工膝関節を入れてこんな技を披露する人間は、武藤以外にいないと思います。流石、ナチュラルボーンマスターですね。

福岡でのタイトルマッチは絶対に防衛して欲しいです。